第 4 章 うさぎ、小さなビルをおくりこむ  

それはあの白うさぎで、ゆっくりトコトコともどってきながら、困ったようにあたりを見まわしています。なにかなくしたみたいです。そして、こうつぶやいているのがきこえました。「公爵夫人が、公爵夫人が! かわいい前足! 毛皮やらひげやら! フェレットがフェレットであるくらい確実に、処刑されちゃうぞ! まったくいったいどこでおとしたのかなあ?」アリスはすぐに、うさぎがさがしているのがせんすと白い子ヤギ皮の手ぶくろだとおもいついて、親切な子らしく自分もさがしはじめましたが、どこにも見あたりません――池での一泳ぎでなにもかもかわっちゃったみたいで、あのおっきなろうかは、ガラスのテーブルや小さなとびらともども、完全に消えうせていました。  さがしまわっていると、すぐにうさぎがアリスに気がついて、怒った声でこうよびかけました。