帽子屋さんは、これをきいて目だまをぎょろりとむきました。が、言ったのはこれだけでした。「大ガラスが書きものづくえと似ているのはなーぜだ?」
「わーい、これでおもしろくなるぞ! なぞなぞをはじめてくれてうれしいな」とアリスは思いました。そして「それならわかると思う」と声に出してつけくわえました。
「つまり、そのこたえがわかると思うって意味?」と三月うさぎ。
「そのとおり」とアリス。
「そんなら、意味どおりのことを言えよ」と三月うさぎはつづけます。
「言ってるわよ」アリスはすぐこたえました。「すくなくとも――すくなくとも、言ったとおりのことは意味してるわ――同じことでしょ」
「なにが同じなもんか」と帽子屋さん。「それじゃあ『見たものを食べる』ってのと『食べるものを見る』ってのが同じことだと言ってるみたいなもんだ」三月うさぎもついかします。「『もらえるものは好きだ』ってのと『好きなものがもらえる』ってのが同じだ、みたいな!」 ヤマネもつけくわえましたが、まるでねごとみたいです。「それって、『ねるときにいきをする』と『いきをするときにねる』が同じだ、みたいな!」
 「おまえのばあいは同じだろうが」と帽子屋さんがいって、ここでお話がとぎれて、みんなしばらくなにもいわずにすわっていました。アリスは、大ガラスと書きものづくえについて、ありったけ思いだそうとしましたが、大して出てきません。
 帽子屋さんが、まっ先にちんもくをやぶりました。「きょうって何日?」とアリスにききます。ポケットから時計をとりだして、それを困ったように見ながら、ときどきふったりしては、耳にあてています。